┏━━━━━━━━━ 辞 書 編 ━━━━━━━━━┓      ┃ ┃      ┃ アルファベット(A〜G) ┃      ┃ ┃      ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ■ADPCM Adaptive Differential Pulse Code Modulationの略。(→ 03: PCM の項参照) ■AI(人工知能) 神話の時代のギリシア文字で「AI」すなわち「αι」は「嗚呼」=哀しい 叫びを表した。いつの時代も,知性,判断とはそれが極まれば極まるほど哀し く,情けないものである。 (→ 18: 人工知能 の項参照) (→ 27: CAI の項参照) ■Air Warrior 富士通が,Habitatに次いで移植,開催した,ビジュアルパソコン通信。 「マルチプレイヤーエアコンバットシミュレーション」,すなわち,複数のユ ーザーがNIFTY-Serveを通してホストにアクセスし,3つの国に分かれ てドッグファイトを楽しもうという大規模なフライトシミュレーション。どの くらい大規模か,私も確認しようとしてみたのだが,毎度お話中で,つながっ てくれないのだった。 (付記:最近での問題は,ベテラン会員のスキルの上昇にともない,初心者が 簡単に参加し得ないことだと耳にする。確認したわけではないが,あり得るこ とではある。) ■ANSI American National Standards Institute(米国規格協会)の略で, 「アンシー」と読む。SCSIや,C言語などの規格で日本のパソコンファン にもおなじみ。日本でいえば,JIS(日本工業規格)といったところか。 ■ASCII 「アスキー」と読む。American Standard Code for Information Interc hange,すなわち「情報交換用米国標準コード」を略した言葉。 コンピュータの世界では一般に,半角アルファベットの1文字を7ビット (2進数で7桁)の数値に割り振り,それを16進数2桁の数字で記す。つまり, 大文字Aは16進数の「41」,小文字zは「7A」といった具合である。この,数 字やアルファベットのいわば管理番号を定めたものをASCIIという。 なぜこういうものが定められたのだろうか? たとえばAならAという文字 を,システムを作る人間ごとに違うコードで指定していては,隣の人とデータ 交換もできないだろう。Aのコードは41,Bのコードは42・・・・と決まっている から,1台のコンピュータ内外,あるいはほかのコンピュータとのデータのや りとりが可能なのである。 このアメリカで生まれたASCIIコード,日本の各メーカーもそのコード 体系を使うことにおいてやぶさかでなく,かつ半角カタカナや漢字コードも加 えてJIS(日本工業規格)コードとして制定していることはご存じのとおり。 ■ASCIIセーブ TOWNSのF-BASIC386で,「ファイル」メニューの「保存」を選ぶ と,「バイナリ」か「アスキー」のどちらかを指定するようになっている。F -BASIC386のプログラムは,画面で見る限りでは,人間に読める形で書か れているように見えるが,実は内部では,そのそれぞれの命令をコンピュータ から読みやすい中間言語という形態に直して抱えているのだ。つまり,F-B ASIC386は,人間がエディタ画面を使ってプログラムを読み書きするとき は人間の読みやすい形態に見せているものの,いざそれを実行するときにはそ の文字列を構文解釈し,コンピュータから扱いやすい形態で扱っているのであ る。そして,そのプログラムをディスクに保存(セーブ)するとき,画面に見 えているままの文字列として保存するのが「ASCIIセーブ」(ASCII コードのままずらずらっとディスクに書き込んでいくから)であり,かたや中 間言語のままディスクに書き込むのが「バイナリセーブ」である。 ASCIIセーブで保存されたプログラムは,テキストエディタで読み書き が可能。一方のバイナリセーブは中間言語に落としたデータをディスクに書き 出すため,ASCIIセーブの場合よりコンパクトになり,また,中間言語に 直す手間も不要になるため,保存も読み込みもより高速に行えるという利点が ある。ただし,保存されたファイルは,エディタなどで覗いても,その中身は (人間から見て)ほとんど意味不明な記号の羅列になってしまうため,別ソフ トからのメンテナンスは難しい。 ■ATOK ジャストシステム社がワープロソフト「一太郎」で用い,MS-DOSの世 界では非常にメジャーになった日本語フロントエンドプロセッサ。「エートッ ク」と読む。「A(阿波)TO(徳島)K(漢字変換)」の略だとか,「アル ファベットTO漢字」だとか諸説冗談はあるが,一太郎のマニュアルには載っ ていないようで真偽のほどは不明。 ■BASIC ベーシック。これは,Beginner's All purpose Symbolic Instruction Codeを略したら,基礎的なという意味のbasicになったというパソコン歴史上 もっともポピュラーなゴロ合わせの1つで,その正体は,パソコン歴の長い者 なら知らぬ者もない,初心者用の会話型プログラミング言語。もちもとは,19 60年代の前半にアメリカはダートマス大学で教育用として考案されたものだが, それをビル・ゲイツがマイコンで使えるようしたため,爆発的に売れ,マイコ ン=BASICの走るコンピュータ,ビル・ゲイツ=マイクロソフトの会長に して億万長者でアメリカンドリーム,という構図を生んだ。 ■BIOS 「バイオス」と読む。Basic Input/Output Systemの略で,マシン語プロ グラムを組んでハードウェアを操作するときのためにOSに準備されている基 本的なサブルーチン集とでもいうべきもの。詳しく説明すると面倒だが,「プ ログラム開発時には,なるべくBIOSを使うのがソフト資産の観点から見れ ば経済的だが,ハードを直接いじってガシガシ高速化を競うのも楽しみの1つ」 などという発言を目にしたときには,確かそんなものだったな,と思い出すと いいだろう。(→ 15: 文章編2 参照) ■C 1972年頃,AT&Tのベル研究所でUNIXの記述のために開発されたプロ グラミング言語。その記述用言語としての生い立ちから,「システム記述に向 いている」「構造化プログラムが容易」「移植性が高い」等の特徴があり,最 近ではパソコン上でも最も普及した開発言語の1つとなっている。 ■CAD 一般に,「キャド」と読む。Computer Aided Designの略。コンピュータ を使用して,2次元,3次元の建築用設計図,電気回路図,工作機械設計図な どの図面の作成を容易にした設計システムのこと。ワークステーション級の演 算能力,高解像度CRTが最低限必要なため,ホビーパソコンレベルにはあま り縁はない・・・・と書いて終わりにしようと思ったが,最近のホビーパソコンを あなどると後で痛い目に合うかもしれないので,断言は避けよう。 ■CAI (→ 27: 文章編14 参照) ■CD-ROM CD(コンパクトディスク)をコンピュータの外部記憶媒体として利用する もの。一般のオーディオデータ以外に,コンピュータで扱えるプログラム,テ キストデータ,グラフィックデータ,音声データなどが記録できる(12cmCD で約540Mバイトの膨大なデータが収録できる)。現在,ソニー,マイクロソ フトほか12社が提案した「ハイシエラフォーマット」をベースにISO(国際 標準化機構)が規格した「ISO9660」が事実上の標準規格となっている。 ■CG(コンピュータグラフィックス) (→ 23: 文章編10 参照) (→ 25: 文章編12 参照) ■CISC (→ 03: RISC の項参照) ■CMI (→ 27: 文章編14 参照) ■CPU 中央処理装置(Central Processing Unit),コンピュータの演算と制御 を司る,人間でいえば脳にあたる部分。雄のコンピュータは下半身にあり,雌 のコンピュータは表皮にある(嘘)。(→ 14: 文章編1 参照) ■CUI Character User Interface。従来の,文字のやりとりを基本とした,人 間とコンピュータのコミュニケーションのあり方。GUIが登場したため,相 対的にそういわれるようになった。(→ 20: 文章編7 参照) ■DAIJYO/V アメリカ製の大スターに,日本の美女スターを付加する,肉体疲労時用のD OS。栄養補給,滋養強壮の機能がある。「DOS/V」の項参照,と言いた いところだが,あいにく,関連は,ない。 (付記:CMネタは風化するぞ。) ■DAPS Datawest Active Picture Systemの略で,データウエスト社が開発した CD-ROM利用技術。CD-ROMからのデータ読み込み,アニメーション, PCM音源を使ったナレーション,FM音源を使ったBGM,これらすべてを 同時進行で行う強力な演出システム。理論上,1枚のCD-ROMで,数時間 にわたるノンストップのストーリー展開が可能。同社のアドベンチャーゲーム 「AYA」「メリーゴーランド」「Orgel」「Nightmare」「ワイアット」で はセル画風のデータ,新作「Ms.DETECTIVE」ではロケーションによ る実写データを使用,いずれも高い効果を上げている。また,他社への技術提 供の話もあり,すでにいくつかのCD-ROM作品が作成されている。 ■DOS 一般的にはDisk Operating Systemの略だが,無条件にMS-DOSのこ とを指していうことも多い。(→ 21: 文章編8 参照) ■DOS/V 「ドスブイ」と読む。Vをローマ数字の5と思い込んで,「IBM DOSバ ージョン5.0のこと」と記したりするおおらかな書物もあるようだが,それは 間違い。そもそもは日本アイ・ビー・エムがPC-DOS V4.0ないし5.0をベ ースとして作った,80286CPUとVGAを使用したIBM PS/2あるいはP S/55用のDOSのこと。最後のVは,おそらくVGAのVであろう。DOS/ Vは本来,日本アイ・ビー・エムが自社製のパソコンのために提供したDOS であったが,PS/2はIBM PC/ATをベースにしているため,いわゆる 「IBM PC互換機」(ものによっては速い! 安い!)でも動いてしまい, そのため現在の喧騒が起こってしまった。なにしろ,漢字ROMなどのハード ウェアの変更なしに,漢字が使え,「一太郎」や「Lotus1-2-3」が使えてし まうのである。 ちなみに,TOWNSにもDOS/Vをという声がなくはないが,基本的に はPC-DOSにフォントとディスプレイ関連のデバイスドライバを加えたも のであるDOS/VをTOWNSに移植することは不可能ではないかもしれな いが,ハード的にIBM PC互換でない以上,あまりメリットは考えられな い。安い互換機を買い足すのがベストの選択であろう。 ■EMS イーエムエス。Expanded Memory Specificationの略。86系マシン用に使 われる拡張メモリの仕様の一種。 「他機種には,EMSについていろいろなオプションボードや書籍があるが, TOWNSには全くといっていいほどない。なんとかしてほしい」という声が なくもないが,EMSなどという窮屈で姑息でしかも複雑怪奇なものを相手に しなくとも広大なメモリをふんだんに使えるのがTownsOS(あるいはi386/4 86ネイティブモード)の最大のメリットなのだということ,それだけは知って いても悪くはないだろう。 天の声。「EMSを必要としないメモリ管理のおかげで,お主たちTOWN S系のライターは,ずいぶん原稿料を手に入れ損なっているのじゃ」。ふむ, そうかもしれない。 ■EWS(エンジニアリングワークステーション) (→ 13: ワークステーション の項参照) ■FASTモード ゲームなどの動作やセリフ等のタイミングを合わすために,初代TOWNS に速度を合わせるのが「互換モード」。逆に,そのTOWNSの最も高速なモ ードでプログラムを実行するのが「FASTモード」。4代目(1991年秋型モ デル)のCX以降で採用されている。ショップやプラザなどで,486TOWN Sが「互換モード」でWindowsなどを動作させているのは実に嘆かわしいこと であり,もしみかけたならぜひともこっそり直してあげてほしい。 ■FEP(フロントエンドプロセッサ) (→ 08: 日本語フロントエンドプロセッサ(FEP) の項参照) ■FM,FM放送 (→ 28: 文章編15 参照) ■FM TOWNS 富士通製のパーソナルコンピュータ。CPUにはi386DX(UXモデルのみ i386SX)を採用し,CD-ROMドライブ標準装備,i386ネイティブモード (実メモリについては4Gバイトまでリニアに,仮想メモリとなるとなんと64 Tバイトまで扱える)をサポートしたTownsOSをバンドリングしたことに最 大の特徴がある。そのほか,MS-DOS,MS-Windowsなどのプラットホー ムも準備され,膨大な数のツール,ビジネス系のソフトウェア資産を運用でき る。 TOWNSとは何か,を触れたことのない方に伝えるのは難しい。ここでは, 車にたとえてみよう。 私見だが,TOWNSは車にたとえるなら,(F1やインディは無理でも) 高速道路を苦にしない程度の高速性をもったキャンピングカーではないだろう か。CRXや,2トン積みトラックを予想してTOWNSを手にしたユーザー は,そのため,当初,多少は戸惑わざるを得ない。キャンピングカーの特製は, 流しに冷蔵庫,はてはトイレまで,自家用車としては特異なジャンルへの拡張 性と,大家族を平気で抱え込める広い空間をベースにした居住性(この居住性 というのは,スポーツカーの乗り心地とは異なる,実際の生活レベルの言葉で ある)である。 大は小を兼ねる,兼ね切れないものは積んでおく,というのがTOWNSの 開発ポリシーかと思われるほど,TOWNSはマルメディアを地でいくハード ウェア仕様になっている。国産パソコンでは類のない多彩なグラフィックモー ドやサウンド機能,3.5インチFD,CD-ROM,またノートパソコンで使わ れるICメモリカードスロットや内蔵マイクまで標準装備である。薄型MOが 標準搭載されるパソコンがあるなら,それはおそらくTOWNSだろう。 (付記:TOWNSの主力はその後486CPUを採用。しかし,何故TOWN SはTOWNSか,というアイデンティティについては,再考が求められると ころだ。) ■FM音源 ヤマハが開発した音楽演奏用のLSIで,いくつかのサイン波をラジオ等で おなじみのFM変調方式で合成し,いろいろな波形(音色)を作るもの。著名 なものに,OPN,OPMなどがある。(→ 28: 文章編15 参照) ■GNU,GAS,GCC GNUとは,「GNU's Not Unix」の略で,「グニュー」ないし「グヌ ー」と発音される。 ミニコンやワークステーションのUNIX上には,かねてより数多くのフリ ーソフトウェアが存在していた。リチャード・ストールマン氏は「ソフトウェ アの発展のためにはソフトウェアはすべてタダで提供されるべきだ」というG NU精神を提唱,「フリーソフトウェアファウンデーション(FSF)」とい う団体を組織してソフトウェアの配布を開始した。このソフトウェア群をGN Uという。最終目標は,UNIXライクな環境とプログラムを開発,整備し, そのソースプログラムを無料で配布する,というものだ。 ソースファイルや実行プログラムをまとめると膨大な量になるGNUは,従 来MT(磁気テープ)で配布されてきた。ところが,CD-ROMドライブ標 準装備のTOWNSでは,「GCC」(GNU Cコンパイラ)や「GAS」 (GNUアセンブラ),エディタや各種コンバータ,さらに「TeX」(テフ, またはテックと読む。スタンフォード大学で開発された組版システム),加え て当然ながらGNUのオリジナルソースプログラム群を多数収録した「GNU for TOWNS」というCD-ROMが作成され,FMユーザーズグループに よって配布された。 なお,ここではごく大雑把に説明したGNU精神だが,その内容は極めて厳 格かつ玄妙なものである。ぜひストールマン氏の主張を原文(英語)で読むこ とをお勧めしたい。 ■GPS Global Positioning System。地球を回る複数の人工衛星(原子時計を搭 載したGPS衛星)からの電波を受信し,各衛星から受信機までの電波伝播時 間を計測することによって受信機の位置を測るシステムのこと。もともと軍事 的な目的のために開発されたが,CAR MARTYをはじめとするカーナビ ゲーションの基礎技術として注目されている。 ■GUI Graphical User Interface。画面の色や形や領域やアイコンやその他も ろもろで意思伝達し,ユーザーの入力もマウスなどのポインティングデバイス を使わせる等々,要するに使い勝手に視覚的な要素を盛り込んだぞ,というこ と。MacintoshのOSをはじめ,MS-WindowsやOS/2やTownsMENU等 で意識されている(意識したからといって,必ずしも使いやすくなるとは限ら ないので注意)。(→ 20: 文章編7 参照)